2016年 02月 01日
「花は六十」 (2/1)
佐藤愛子の「花は六十」です。別の本を借りに行ったのですが、貸し出し中だったので、タイトルが目に飛び込んできました。書きだしを見ると、還暦のパーティーのシーンだったので、これを借りました。だって私、アラウンド還暦どころかジャスト還暦だし、何かに「女は60代が最高だ」と書いてあったし、四季の館の露天風呂で会った80の女性が、「あなたはこれからよ」と言ってくれたから、これしかないでしょと思いましたもん。
60歳の女性の主人公は、何年か前に夫を亡くし、子どもは独立して別居していて、おひとり様。隣家の同い年の静さんは、夫あり、息子夫婦と孫が同居の友達がいて、まっ、そんな所から始まります。
ただ、この小説自体が、1983年、30年以上も前に書かれたものであり、今90歳位の、佐藤愛子世代(母や岸惠子や美智子様よりも上)がヒロインなので、結婚に至った背景(戦争)、女性観、夫婦観などが全然違っていて、私には想像することしかできません。でも、あるある、は、随所にちりばめられています。たとえば、
家族に囲まれて、還暦パーティーを祝ってもらった静さんは、おひとり様のヒロインに、こう言います。「松本さん(ヒロイン)はいいわねぇ。旦那様はいないし、こんないいお家はあるし、息子さんは上出来で、しかも大阪勤め(別居している)、うるさい孫も嫁もじいさんもいなくて、ひとりノビノビ、好きなことしていられる、ホントに羨ましいわ・・・」。私、これを言われたら、殺意を抱きますから。幸せに馴れた人は、本当の不幸がわからないように、賑やかさに馴れて、寂しさがどんなものかわからない、と書いてあります。その通りです。
気持ちのいい微風がそよそよと吹いて、静かな美しい午後です。けれどもそこにはいいしれぬ寂寥が漂っているのでした。私ひとりを残して、世間は光り輝きながら廻っている・・・。そうだそうだ。私が晴れた日のガーデニングや、GWや盆暮れに感じるやつです。
静さんは、人生(恋)を取り返そうと思いきった行動をとって、気がついて、元の生活に戻っていきます。ヒロインは、苦労するとわかっていて、新たな道(恋)を行く選択をします。
「恋する百人一首」も終わりました。避けては通れない「失恋」がテーマでした。自分を容認するところから、立ち直れるんだって。そうですね。良い歌を歌うためには、ズタズタになることも力になるってか。できれば、なりたくないけど。
「真田丸」は、わかりやすい腹芸がおもしろいです。信長のブーツとフリルのシャツが、強烈でした。息子は、ろくでなし子さん裁判の傍聴が当たったそうです。マコは✕