人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ブログトップ

ニャンコ座リポート since 2005 April

4月10日のコラム

近頃の私は、まだ少量の安定剤を飲んでいますが、あくびがでるようになりました。あくびってものがあることを忘れるほど、長いこと「眠たい」と感じることが無かったので、睡魔は新鮮です。人と会って(電話も含む)いると、楽しくて元気なのですが、一人でいるとすごく寂しくて、その落差に、自分でうろたえます。
苫小牧民報のコラム「ゆのみ」を書くのも、来月いっぱい。今までにも増して、関係者や読んでくださっている方に感謝しながら、残り3回を書きたいです。昨日10日掲載分です。
          母の生きようとする意志に背中を押されるわたし
 認知症の母は、去年の11月初めに誤嚥性肺炎を起こし、グループホームから病院に運ばれました。的確な治療のかいがあって回復しましたが、もう2度と口から物を食べることはかなわなくなりました。
 病状が安定したら、「胃ろう」をつくってグループホームに帰ることも考えられましたが、様々なトラブルが起こり、結局3カ月目にして、5年以上お世話になったホームを退所しました。
 トラブルの一つが、高齢者特有の頑固な皮膚炎です。これはステロイド剤を使うと見事に良くなるのですが、もろ刃の剣のステロイドは、あちこちの粘膜を弱くして、結果新たな感染症や様々な炎症を招き、体を衰弱させてしまうとのことです。
 少し前のこと、母は又肺炎を起こし、胃から出血したり、おしっこが出なくなったりと、かなり重篤な症状に陥りました。5種類もの点滴につながれて、そのうち2つはコンピューター制御のものものしさに、正直腰が引けました。生きることの定義って、いったい何だろうと思いました。
 母の認知症は、もう十年来です。今はほとんどコミュニケーションがとれないし、限りなく寝たきりに近い状態です。わたしが病室に行っても、何もできるわけではありません。でもわたしは、母のそばでとりとめのない話をしたり、時には本を読んだりして過ごすのが、けっこう好きです。
 母がこんなことになっているのに、わたしは旅行したり、ミュージカルに出たりしました。母はきっと強い意志の力で、生きようとしているのだと思います。だからわたしはいつも、母に背中を押してもらっているのです。

 PS 井上ひさしさん、死去ですって。大ファンの夫は、会いに行くだろうか。合掌。
名前
URL
削除用パスワード
by nyankai | 2010-04-11 08:45 | コラムニスト気どり | Trackback | Comments(0)